フッキングは上あごにしっかりかかってこそ。これは基本であり、原則ですが、本当に釣りが上手いといえる人と一緒に釣りをしていると、下あごや口の外からスレで掛かることが多いのです。実はこの人、自分より釣りが下手なのでは?などと考えたこともあったのですが、さにあらず。今回はフッキングを題材として「本当に」釣りの上手い人のルアーゲームについて述べてみたいと思います。
フッキングは上あごにかけるべきか
冒頭でも述べましたが、フッキングの基本は上あごです。なぜ上あごにかけるべきかは、それが一番「順もしくは純」な方法で、魚がバレにくいからだとされています。しかし、実際に釣りをしていると、上あごにかかるより下あごにかかった方が魚が動きにくく寄せやすいということもあるわけです。テールフックに魚が食いつくより、フロントフックの方がバレにくかったり、セオリーが絶対ではない状況というのはいくらでも出てまいります。魚が暴れないならそれに越したことはないわけで、キャッチの面から考えれば、セオリー通りのかかり方でない方がよく、ゲームフィッシングとして魚が暴れるのを楽しみたければ、セオリー通りの方がいい。ということもあるでしょう。どちらに軸足を置くかで、変わってくる価値観的な部分なのでこれ以上掘り下げませんが、必ずしも上あごでなくてもよいという考え方があることだけはご理解いただけたらと思います。
さて、釣りが上手いという人と一緒に釣りをしていると、よくセオリー通りのフッキングではない魚があがってまいります。私自身、大した腕前ではないのですが、上あごにかかっていない魚を他の方より多く釣る傾向にあるように思います。
これを見て何度か釣りが下手だといわれたことがあり、私自身もそうなのだろうと思っていたのですが、今改めて考えるに、釣りが下手なのではなく、上手いからこそセオリー外のフッキングができているのではないかと感じているのです。
釣りが上手な人はフッキングが下手な理由
私の場合、セオリー外のフッキングをするのは、圧倒的に画像にもあるミノー、シャロークランクです。ジャーキングやトゥイッチング、ストップ&ゴーという不規則なアクションの関係で向こうアワセとなって、運よくスレで釣れているという考え方もできますが、それでは説明がつかないような釣果の差が出ることがあります。これはなぜなのかと考えた際、最大の理由と推察されるのが「目」でした。魚ではなく、私自身の目による部分です。見えバス狙いのサイトフィッシングとは少し違うのですが、私は目で魚を釣っているようです。最初の画像をご覧いただければわかるとおり、私は派手なカラーが好きです。これは視認性が高いためですが、そもそも派手なカラーが好きになったのはそれ自体が釣れるから。6つや7つの子どものころ、わけもわからず投げていた中で特に釣れるカラーというものを自然に見つけることができたのです。
なぜ派手なルアーが釣れるのか。それは、派手だから魚に好まれて釣れているのではなく、派手であるために人間がルアーを見つけやすく、その変化を敏感に感じ取れるからではないかと思います。事実、セオリー外のフッキングをするのは、圧倒的にシャローレンジで派手なルアーを投げている場合で、なんとなく違和感を感じてアワセたときによく起こっているのです。
この違和感はロッドはもちろん、リール、ラインにも出ないアタリです。ではなぜそんなアタリをとれるのかといいますと、ルアーが消えるからに他ならないのです。魚がルアーをくわえたり、体当たりする際にルアーが一瞬隠れる。これを違和感だと感じてアワセているようです(ほぼ無自覚に)。
当然、ご覧のようなチャートカラーや、ホットピンク、赤金といった派手なカラーであれば、ルアーが消えた瞬間を認識しやすいわけですね。背中が黒系のルアーですと、ヒラを打った瞬間だけ見え、後は見えないということになりますから、違和感を察知しにくいのです。また、極めて派手なルアーですと、注視していなくてもいい。次のポイントを見ながら、薄ぼんやりと視界にルアーを入れておくといくことができます。いいポイントを探し、攻め方を考えながら釣りができるのですから、ボートフィッシングで行き当たりばったりの釣りをするよりもずっとプラスになります。
派手なルアーが釣れるから、ナチュラルは投げるなということではありません。ナチュラルのルアーの方が恐らく、ストライク率は高いはずです。しかし、人間様は難儀なもので、そのストライクを感じられない。これではどんなにストライクがあっても釣れないのです。特に大きい魚ほどガッチリとルアーをホールドし、そのまま釣り人の方へ泳いでくるということが多いためロッドやリールでアタリを認識しづらく、目によるフッキングが重要になります。
これでもうおわかりかと思いますが「本当に」釣りが上手い人はフッキングが下手なのは、本来かからないような魚をかけているからなんですね。小突きにくるようなアタリにならないアタリにアワセているために、セオリーどおりのフッキングにはならないのです。
上手い人は10本中8本がセオリー外もしくは薄皮一枚のフッキングともいわれ、絶望的なタフコンディションでもゼロで帰ってこない人ほど、こういう傾向にあるようです。私はといいますと、せいぜい4本といったところで、ほとんどセオリー通りにかかります。それでも他の方が6本釣る日に10本釣れるわけですから、誤差の範囲とはいえ、やはり違ってくるのかな、と。腕自慢みたいになって心苦しいですが、「せっかくアタッていたのに釣れてなかった魚がいるかもしれない」と感じていただければと思い、こういう書き方にしておきます。
蛇足ですが、本当にフッキングが下手で、ちゃんとアワセられていないために妙なかかり方をしているだけの場合もありますので、セオリー外だから上手い!と安直に考えない方がいいかもしれません。上手いといわれる人のフッキングがセオリー外が多くても、下手だ!と決めつけないでおく程度に留めるのが吉、でしょうか。
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