ルアーカラー理論
当たり前のことなのですが、割と語られていないルアーの塗り分け。日本はイミテーションルアーといって、小魚っぽいことが一番重要視されているので、そもそも塗り分けという発想がないのかもしれませんが、そのルアービルダーが「ちゃんとわかっている人」であればルアーのカラーラインナップを見るだけで、そのルアーの動きが予測できてしまうのです。


今回はルアーカラーの基本になる縦と横の塗り分け(ストライプとボーダー)についてフランスとロシアの国旗の関係を例に説明してまいります。

ルアーカラーの塗り分け理論
フランス国旗は縦の縞模様で青、白、赤と並ぶ三色旗。いわゆる縦縞、ストライプにあたります。このカラーは、古くから愛されている伝統的なカラーのレッドヘッドがよく知られていますね。ストライプの何が魚を引きつけるのかですが、これはルアーが動く際、ウォブリングといってお尻を振る(もしくはボディの中心を軸に頭を振る)アクションや、ジャーキングでルアーがスライドすると、特定の色が大きく見えたり、見えなくなったりするわけです(図参照)。

こうなると、さっきまで青が見えていたのに、急に赤が出てきた!となって、魚が興味を持ったり、警戒(臨戦)体勢に入るわけです。魚は人の何倍も動体視力があるといわれており、特にこういった瞬間的な明滅をはっきりと把握できるようです。


ルアーカラー使い分け
次にロシアカラー。横方向のボーダーということになりますが、これはローリングといって、ルアーが回転(といってもスピナーのようにグルグルまわるわけではなく)する際に、魚から見えている色が変化することで、フランスカラーと同様に好奇心や食性を刺激する目的のカラーです。背中を見せれば赤が消え、お腹を見せれば白が消えるわけです。

代表的なものは、黒金。背中が黒で、腹が金の世界で一番安定して釣果が得られるといわれるカラーです。もうひとつはファイヤータイガーで、背中が緑、横は黄色、腹はオレンジというカラー。レッドヘッドはバイブレーションにも多いのですが、ファイヤータイガーはバイブレーションでは稀なカラーになるのは、バイブレーションはあまりローリングしないからなんですね。

この大原則を元に、釣り人がルアーアクションを決めていくことで、ルアービルダーの想定する100%の力を発揮させることができるわけです。また、ルアーを購入する際にも、このルアーのアクションだとこちらだな…と、より効果的なカラーを選ぶことに役立ちます。


【蛇足】
ファイヤータイガーカラーですが、実はあまりローリングしないバイブレーションにも塗られることがあります。ローリングしないといっても、まったくしないわけではないので、アクセントとして腹に赤を入れることがあるのです。そもそもファイヤータイガーは、ロシア&フランスカラーのいいとこどりをし、なおかつナチュラル(背中の緑)&アピール(腹のオレンジ)カラーで、欲張り倒したバス専用カラーなのです。とりあえずコレ塗っとけというメーカーが出てくるのは致し方ないことなのですが、個人的にコーデル社のスーパースポットには要らないんじゃないかなと思ったりしています。まあ、私にとってもフェイバリットカラーですので、熱狂的なファイヤータイガー信者というものがいて、どのルアーもファイヤータイガーじゃないと落ち着かない!という気持ちはわからいでもないのですが…。