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みなさんはアジやへらはやりますでしょうか。私はその昔、アジングなんて言葉がなかった時代、20年以上前からワームでアジをやっていた根っからのアジ釣り野郎です。また、アジが岸から離れる時期になると、かじかむ指をあたためながら、寒ベラ(冬のへらぶな釣り)をやっていたクチです。

そんな中、ときおり起こるのが「大爆釣」です。具体的には、500円ワンパックで買ってきたオキアミがなくなるほどアジが釣れ、クーラーボックスに収まらない、へらねり2袋が底をつくほど釣っているのにまだ釣れる…。それが大爆釣。このエピソードとライトリグの使い方が間違っている!ということがどう繋がっていくのか。少々お時間をいただければと思います。
アジをワームで釣るようになったのは、何もワームで釣ろうと思って出掛けて行ったわけではないのです。あまりに釣れすぎたためにオキアミがなくなりかけ、急遽ピンチヒッターとして登場したのがワームだったんです。エサつけりゃ釣れるけれど、なくなったら終わりだし、釣れている間はルアーでもいいんじゃないか?という浅はかな考えでした。結果、ワームでも大爆釣は継続しました。

へらの釣りは、針先が大きく隠れるほど団子状の練りエサを付け、何度も打ち返してそのポイントにへらを寄せてからが勝負になります。釣れないときほど大きなエサを打っていくわけですが、釣れすぎますと、大きなエサを付けるのがもったいなくなる。どんどんケチって小さくしても、いくらでも釣れてくるのですから。ピンポン球のようなエサを付けずとも、針先にちょんとあるくらいの大きさのエサでいいじゃない。となる。

みなさんのライトリグの釣りは間違ってませんか?爆釣しているからライトリグの、6インチワームを三等分して2インチワームにするだのして、釣りをしているのであれば私もなにもいいませんが、釣れないからとハナから小さいものを投げているのであれば、それは大間違いだといわざるをえません。

以前、水槽でバスを飼っていたという話をしましたが、バスは5cmのエサより、15cmのエサを好みます。しかも圧倒的に。15cmのエサがなくなると、しかたなく5cmのエサを追いはじめる。ワームの釣りは魚の食性にアピールするわけですから、とにかく大きいよ、旨いよ、とやらなければならない。そして、それ以前に「見つけて」もらわなければならないんです。湖底の藻や石のスキマに隠れてしまうようなサイズでは、見つけてもらうことすら叶わない。活性のない魚は、動かないのでワームに出会うこともありませんし、視界に入っている程度では確認しにきません。ボーッとしている魚に強烈にアピールしてこそ、食性(食欲)が掻き立てられ、低活性時に口を使わせるのです。

バスプロという人種が、せっせとセコい釣りをしていたりしますが、あれはそこに魚がいることが明らかである場合にやるものです。魚探を見て、ベイトを確認して、バスの居場所を特定してから(ここに何センチの魚がいるよ!なんて表示の出る魚探まである)、ライトリグを投げている。皆さんは過程ではなく釣果の部分しか見ませんから、「ライトリグ=釣れる」になっているのでしょうが、あの釣りには周到な準備があってはじめて成り立つのです。

え?そんなこといったって、はじめからライトリグのプロがたくさんいるじゃん!!という方もおられるでしょう。彼らはプラクティスを行っているわけで、魚の居場所を知っているんです。ですので、一切の手順を踏まずにライトリグでスタートできるのです。

事前の手順や準備なし、プラクティスなし、魚探なし…の場合、酷な話ですが、ライトリグに極小ソフトベイトを投げて釣っているプロは上手くありません。その日は皆さんでも、そして私でも釣れてしまう、簡単な日なのです。上手くないものだから、誰がやっても釣れる日を「今日はシブい」なんていっちゃうわけ。もっとも、低活性でワームのテールばかりちぎられるからサイズを下げるというのはアリですよ。でもこれは、事前の手順、事前の準備を終えたからこそですよね。

皆さんもこの勘違いをおかさないためにも、何で釣ったの?と聞くのはやめた方がいいのではないかと思います。どうしても聞きたい場合は、「どういう手順で釣ったのか」を聞いてください。まあ、そういう秘術の部分はブラックボックスで、飛び抜けて上手い人でもない限り教えてはくれないんですがね。

余談ですが、私が60アップを釣ったワームは8インチギルレイカー。デカいワームはデカい魚を獲れるという王道を往った結果だと思います。この魚を手にしたのはうだるような暑さのドピーカン。炎天下の低活性時に、ディープからオカッパリで獲ったわけです。8インチカーリーテールは飲み込みきれずに釣れないから頭飛ばして4インチといった芸当ができるので、私は大きいカーリーテール、リボンテールワームが好きなんです。飛ばした頭はアンダーショットなどで使えば十分釣れますし、無駄になりませんからね。

さて、話が脱線しましたが、アメリカで今話題のワームはYUMのマイティワームに代表される、ビッグワームの釣りだということをご存知でしょうか。ビッグワームというのは一体どれくらいかというと、なんとなんと10インチ。10インチリボンテールならわかるのですが、10インチのいわゆるセンコーのようなストレートワームをジグヘッドで操るのが流行なのです。

みなさんがよく使う4インチセンコーを単に2.5倍にしたものと思うなかれ。太さもその分太くなるので、1本あたり4インチセンコー12本分くらいのボリュームがあります。こんなに大きいものなんて使えないよ!という気持ちも起こらないわけではありませんが、25cmもあるビッグワームで、30cm台のバスが釣れてくることもあるのです。しかも、超低活性、晩秋の寒波襲来、長雨、濁りなどのタフコンディション下で。

私は釣りの世界に逃げ道をつくってはならないと思っています。ワームが大きすぎたから、色が悪かったから、シンカーが重かった、ラインが太すぎた、リールが、ロッドが…いくらでも言い訳、逃げ道はつくれます。逃げて逃げて、逃げ切った先に、ライトリグしか残ってなかった。これが希望の光だ、自分にはこれしかないんだ…。なんて思って欲しくないわけです。

「守株」という言葉があります。ある農民が野良仕事をしていたところ、切り株に兎がぶつかって死んでしまった。農民は「なんだ、働かなくても兎が食えるじゃん」と思って、畑を放り出して切り株をずっと見守り続けたものの、二度と兎が獲れることはなかった。といういわゆる故事です。

色々試して(諦めて)、ライトリグで釣れた。だから今日は朝からライトリグ。今日はボウズだったけど、明日もライトリグ。明後日も、明々後日も…。

そんな釣りをしていませんか。もし、以前と同じ釣りを繰り返してしまうようなら、一度釣りのスタイルを見直した方がいいかもしれません。サーチルアーとワークルアーについて学ぶというのもいいでしょう。皆さんの釣りが、ライトリグ片手に死ぬまで切り株を見つめるようなことのないよう、切に願います。