ラトリンログARB1200
春になるとバスと同時にバサーもまた活動をはじめます。バスはご存知の通り、時間や水温に忠実に動く魚です。凍結しない水系では年間最低水温から10度ほど上がりますと、スポーニングの準備に入るといわれます。これをプレ・スポーニングといいます。そこから水温が14度を安定して超えはじめますと、オスバスがスポーニングに入り、人間がめっきり春めいてきたなと感じるくらいの季節になるころには、大型のメスが産卵を終えます。バスの個体の差や体力、冬季の過ごし方にくわえ、同じ水系でも北はスポーニングに入っているのに、南は遅れているという状況などもあり、いつからいつまでがスポーニングだと明確には決められません。つまり、プレ・スポーニングもポスト・スポーニング(産卵後)の魚も入り混じる場所もあり、ここを攻めれば確実という釣りは成立しにくい状況にあります。

ただし、大きな魚を比較的簡単に釣ることができるのもこの春の特徴で、ベッドを守るオスバスや、オスバスをいじめてベッドを放棄させ、そこでスポーニングに入ろうとしていたメスバスに口を使わせるというサイトフィッシングテクニックがあって、これらはどんな人にも魚が釣れてしまうため、やめた方がよいと啓蒙しても今後も減ることはないだろうと思います。

私はスポーニングベッドを直撃させる釣りは、バス、ライギョ含め原則行いませんので、このモットーに則した攻略方法を述べますが、本心ではルアーは食性で魚を釣っているのだと決めつけている日本のアングラーには、一度だけスポーニングベッドを叩く釣りというものをやってもらいたいとも思っています。バスがルアーを口にするのは、エサだからではないということが目の前で証明されるわけですからね。

夏でも、秋でも、自分のテリトリーに入ってくる外敵を口を使って追い払うという状況があるということを知ってもらうためには、体験するのが一番いい。ただ、日本はアメリカのように広大な水域を持ちませんから、野池などで何人かがそういう釣りを展開するだけで、その水域のバスが激減しかねないので推奨するわけにいかないという事情があるのです。

さて、前口上が長くなりましたが、本題に入りたいと思います。まず、スポーニングを意識しだすプレスポーニングの時期。この時期が一番春のバス釣りとしては戦略的でおもしろいのではないかと思います。冬の体力減少から回復するべく深場から上がってくる魚が増え、寒い時期ほど大きい個体が食う。この時期の攻略法としては、ログ(ラトリンログ・サスペンドタイプ)を使う方法がベストでしょう。まだ活発にエサを追えない時期のバスは、サスペンドタイプのミノーをふいに口にすることが多いのです。春先にコイ科の小魚が水面付近で弱々しく泳いでいたりします。寒くて仮死状態だったのが、いよいよ本格的に活動を開始するも、やっぱりまだ寒い。この時期の半分仮死状態の寝ぼけた小魚を演出するのにログのナチュラルアクションはピッタリなのです。

このとき、ルアーサイズは上げておく方が好結果に繋がります。極めて水質のいい場所や、60オーバーを狙う2月上旬〜のスポーニング狙いでないのであれば、ミノーのサイズは下げません。どうせ食べるなら大きい方が効率がいいわけでして、魚たちも大きいルアーに興味をそそられるようです。ただ、大きいからといって、後述するボーマーのロングA15Aを投げるのはオススメしません。ロングAの段でも書きましたが、ロングAは激しいジャークで魚に有無をいわせず追わせるルアーで、この時期の体力のないバスにとって追いきれないことが多いためです。ログはナチュラルな動きのジャークベイトで、まっすぐ引いてくると、ドジョウが逃げるような動きをします。バスに「これなら食えるな」と思わせるニブい動きであることがポイントです。

ロングA15A(ボーマーlong A)
次に、スポーニングシーズンとポスト・スポーニングシーズンについてですが、魚の体力が回復し、エサを追いはじめたり、ベッドを探してメスが回遊している状態になると、ロングAがおもしろくなります。ベッドをつくる直前のオスバスや、ベッドの品定めをしているメスバスは、見ているとわかります。スポーニングベッドがある場合は攻めませんが、それ以外の場合は彼らの行動の邪魔をする形で釣りをすることが釣果に結びつきます。あまり人道的とはいえませんが、それは他のシーズンでも同じことですのでね。

具体的には、しつこく攻めて怒らせるか、食い気のある魚の前を激しいロッドワークでジャークさせ、ついうっかり口を使わせるかの二択になります。短気なバスは何度も攻めていると背びれを立てて威嚇体勢に入りますから、見ていればわかります。怒ってどこかに行ってしまう魚は追っても食いませんので、その場合は諦めた方が無難です。この時期のサイトフィッシングで、一匹のバスに振り回されて一日が終わる人は少なくありません。そのバスが嫌なものを見たくない派か、始末したい派かは運次第。運がないと思えば、他の魚を探しに行った方が建設的です。

産卵が終わるポスト・スポーニングシーズンに入ってしばらくし、体力の落ちたメスバスが回復するためにエサを追う時期となれば、再度ログを使います。また、メスバスの体力が回復して落ち着きだした時期、オスバスがベッドから離れる時期になれば、ロングAに切り替えます。ロングAの15Aはジャークしても比較的動かずナチュラルで、14Aは激しく切れ込んでアピールするジャークベイトですので、その水域の状況に合わせて使い分ける方が望ましいですね。

まとめとしては、寒い時期は動かないミノーを、活性がよくなったらシャローをジャークベイトでどんどん攻める。ということになります。春はミノーといわれても、てんで結果が出ないという方は、このような明確な戦略をもって攻めていただければ、釣果が変わってくるのではないかと思います。

ボーマー ロングA 15A

ボーマー ロングA 15A
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カラーについてですが、水温が上がってくればアピールタイプ、水温が低くても魚を挑発して釣るのであればアピールタイプがいいでしょう。水質が極めてクリアで活性が低く、魚がエサと認識して追っている状況(アピールタイプを追いきれない状況)では、ラトリンログのナチュラルカラーが好結果を残しています。