coatac馨 jewelry
Coatacといえば、創業から50年以上とも聞いている、日本トラウトルアー界の最古参といっていいのではなかろうか。毛針(フライなんて洒落た名前じゃなかった)の時代から脈々と受け継がれる、ヨソとは違う製品で異彩を放っていた会社だが、一昨年、既に事業の撤退を決めていたそうだ。急にこんな話題をしだしたのは、潮来釣具センターの福袋にこの「馨(かおる)」が入っていたため。

ウォーターランドはもちろん、シマノにノリーズ、ラッキークラフトと、居並ぶ強豪がバスルアーから雪崩を打ってやってきたトラウトの世界。元々は管理釣り場ではなく、ネイティブトラウト、イワナやヤマメ向けのルアーをつくっていたと記憶しているが、やはり大手に市場を席巻されては勝ち目なしと見たのだろうか。トラウトフィッシングへ視線が向けられ、市場が活性化しているといわれるが、この激動の中で消えていくメーカーもあるわけで、一概に市場の加熱がいいともいえないのかもしれない。といいたい気持ちをグッと押し殺し、業種は違うとはいえ、同じ経営に携わる者として冷徹に他山の石とせねばならないと思う。

老舗ルアーメーカーcoatac
ダイヤモンドカット加工の馨のいいところは、スプリットリングがついているという点にある。私はラインが痛むことを嫌って、外すかスナップを使ってしまうが、こういう心遣いは老舗ならではに思う。

幼いころ見ていた店頭に並ぶCoatacのスプーンは1000円ほどしていたため、高級スプーンのイメージが強い。事実、よくつくられていると思う。美しさはシマノやその他メーカーの追随を許さず、低価格スプーンの中では唯一、ウォーターランドが噛み付いている印象だ。安くて同性能ないし、高性能なら、やはり勝てはしない。

coatac馨は替えフック付
老舗の見せる愛情はこんなところにもある。バーブレスフックが付属しているのだ。ネイティブのヤマメ、イワナを狙う人のためのメーカーだったが、時代に合わせて歩んできた努力の証がここにある。事業から撤退したからといって、このスプーンが釣れなくなったわけではない。時代の奔流には勝てずとも、渓流ではいまだ健在なのだと思う。