冬のバイブレーション(リップレスクランク)
真冬に威力を発揮するルアーとして知られるバイブレーション(リップレスクランク)とブレードルアー。今回は厳冬期にこれらのルアーが強い理由を簡単に解説させていただきたいと思います。画像は懐かしのテクノソニックのほか、BLAZEのリップレスクランク(製品名失念)、コットンコーデルのスーパースポット、国内スピンテールジグの代名詞スピンソニックです。ご覧の通り、金属光沢をまとったルアーばかりです。冬はコレがミソなのです。

真冬にバスを釣る方法をウンヌンする以前に、冬のバスがどういうものなのかを理解しておかねばならない。以下に冬のバスが難しい3つの点についてまとめておきたい。

真冬のバスは猛烈に難しい

バスは実に感覚が優れた魚で、最も餌を追う時期ならば数メートル先の餌も感知する。一方で、水温が5度を下回るような厳冬期になると著しく活性が落ち、仮死状態になる魚が出てくる。数十日も食事をせずとも済むようになるし、反応範囲は十数センチ程度になるという。つまり、本当に目と鼻の先に落としてやらないと、気付けなくなってしまうのだ。

ハイシーズンのバスの反応距離を1メートル、冬のバスの反応距離を10cmとすると、何と10分の1ではないか!それは釣れないはずである!!などという解説を何度か見た覚えがあるが、これは間違いだ。なぜなら、我々は三次元の世界に生きているからである。10cmなら前後左右上下で1000立方センチの空間内にしか反応できないということになる。一方で1メートル(100cm)なら100万立方センチだ。反応範囲がそのまま釣果とイコールなのであれば、単純計算で冬のバスはハイシーズンに比べて1000倍難しいということになる。ここまで鈍くなった魚を捕るのだから、一筋縄ではいかない。もはや目で見て追ってもらうという考えは捨てた方がいいだろう(真冬でも気温が高くなればトップゲームも楽しめるが、ここでは厳冬期の低活性の魚に焦点を当てるため)。

冬のバスが深場を好むワケ

厄介な問題はもうひとつある。冬は溶存酸素量が高まり、深場でも呼吸がしやすいという点だ。多くの方が勘違いしているが、気体は冷えるほど水に溶けやすくなる。コーラを常温で放置していると、気が抜けてしまうのと同じ理屈だ。夏場は酸素が溶けにくいため、バスは深場に居ると苦しいらしい。また、夏はプランクトン等が発生し、水質が悪くなりやすい。冬場は水質を悪くする要因も減り、一年で一番水が澄んでいる状態になる。ますます酸素がよく溶けるというわけだ。結果、水温の安定と酸素の問題を一挙に解決できてしまうため、魚が深場へと落ちてしまう。冬の魚を狙うのであれば、ここを直撃できるものでなければならない。また、適切なディープエリアを見つけ、直撃させる技術が必要となる。

冬のバスは反応しなくても目はよくなる

最後の問題点は2つ目とも関連しているが、冬は水がよくなるために視界が確保でき、目で見て魚を捕獲するバスにとって実によく見える時期になるという点だ。バスの目は人間よりもいい。野生に生きるのだから当然かもしれないが、動体視力は数倍、認識できる可視光線範囲も人間以上だといわれている。そんな彼らがますますよく見えるのだ。冬場はルアーを小さくするのが鉄則のように語られているのはこのためである。であったとすべきだろうか。厳しいシーズンだから、ナチュラルに、フィネスに…などといって、ルアーサイズを下げてエサに近づけるのが最近のもっともらしい理論のようだが、本来は水がよくなり、バスに見てもらいやすいので、大きくする必要がないというだけだ。また、低活性のためあまりに大きいと追いきれないと判断されてしまうことから、大きくしたくないという事情もある。

エサに近づけていけば釣れるのであれば、真冬はリップレスクランク(ブレードルアー)だ、深場はメタルジグだという理論が成立する余地がない。あんな魚に見えない物体を食ってくれるハズがない。念のためにもう一度申し上げるが、バスは目がいいのだ。見切られているといって差し支えない。それでもリップレスクランクやメタルジグが釣れるのには理由があるのだ。

バスの耳はどこにある?

リアクションバイトというものがある。ついつい口を使ってしまったという状況だ。ではなぜこれが起こるのだろうか。リアクションバイトを見ていると、スピナーベイトなどのブレードのきらめきに反応していると思われる状況が多々ある。これは視覚によるリアクションバイトといえる。しかしそれよりも冬場に多いのが聴覚によるリアクションバイトだ。バスの耳がどこにあるかはご存知のことと思う。バスの体を横から見ると、中心に側線と呼ばれる鱗に穴の開いている部分がある。ここがバスの耳だ。数十cmの範囲内で動いたエサの音などを敏感に感知して、方向や大きさまで瞬時に認識することができるという。低活性時に強いのはこの聴覚によるリアクションバイトだ。

昼間ぼんやりと浮いているバスを見たことがあるだろう。彼らのそばまでリップレスクランクを引いてきて放置し、そこから1メートルほどズバンと急に動かしてやる。ビックリして逃げる魚も多いが、中にはガブリとやってしまうものがいる。その動きを見るに、彼らは明らかに正気を失っている。先ほどまでの落ち着き払った態度はどこへやら。「スイッチ」が入ってしまうのだ。これは待ち伏せ型の魚に多い。ナマズやライギョでもあることをきっかけに人格(魚格?)が豹変してしまう。冬場のバスの反応距離は十数cmというのは、この聴覚によるリアクションバイトの距離が十数cmなのではないかと考えられる。目で見られれば勝負は決するのだから、耳で食わせるほかないのである。

だからこそ、メタルジグやブレードルアーの急なシャクリや落とし込みが効くのだ(もちろん深場への送り込みが簡単というのもある)。バスがルアーを認識し、ありゃダメだと思われても、底に沈めてしばらくすると魚は興味を失う。そこから急に引き上げると、水を一気に押す。この動きがバスの正気を失わせるのだ。これは、ワームの釣りではできないことだ。低活性時はソフトルアーといわれるのに、厳冬期はそういわれない(いっている人も最近増えたが)のには、科学に裏打ちされた理由があったのだ。

ちなみに、リップレスクランクを使う際のラトルの有無は好みだが、ジャラジャラとアピールしながら近づいてきたのでは飽きられてしまうからと、ノンラトルを使う人が多いようだ。また、金属系の色味が好まれるのも、ルアーを探させてしまい、視覚的に見切られる前に居場所をアピールすることで、正気を失ったまま食わせるためのものだ。