ラトルorノンラトル
ラトル入りルアーというのは、実のところバスのようなサンフィッシュ科の魚中心のルアー
ゲームでのみ見られる(例外はたくさんあります)特有のものだったりします。バスはラト
ルで釣るというのは実績と経験で示されており、オカルトではなく科学に準ずる存在だとい
えます。というわけで、今回はラトルについての話題をまとめておこうと思います。

ルアーマンならラトル有無をウンヌンする以前に、ラトルの歴史について知っておかねば
ならない。ラトルはそもそも出来損ないルアーのせいで生まれてしまった副次的な存在。
時代は遡ること1970年代の後半の話。バイブレーションプラグ(リップレスクランク)が
よく釣れると話題になっていたころ、コットンコーデル社は他社のプラグ(スーパーソニッ
ク)に負けまいと、スーパースポットというリップレスクランクを世に送り込んでいた。そ
んなさなか、事件は起きた。


生産ラインの女性工員がルアーの水中姿勢と飛距離のために入れているウエイトを入れ間
違えてしまったのだ。ウエイトはウエイトルームと呼ばれる部分にピッタリ納まるものを
入れなければならない。そうしなければ泳ぎの邪魔をしてしまう。ルアービルダーの設計
が台無しになってしまうのだ。しかし、この女工さんはついうっかり、小さめのウエイト
を入れて出荷してしまった。


そのミスはすぐに発覚したが、この不良品は一人の女工さんが一日で生産した分しか世に
出回らなかったため、よしとしようということになったのだろう。かくして店頭に二種類
のスーパースポットが並ぶこととなった。店側もそんなことはわからない。客だって知ら
ない。にもかかわらず、ラトルの効果はすぐにわかった。


コーデル社の電話が鳴りだしたのだ。「あの音のするヤツを売ってくれ」との電話が。店
頭で振っても音がしない。色も型番も同じなのに、音がするのが店にない。あれが釣れる
んだが、もう売ってないのかという問い合わせだ。電話に出たコーデル社の社員もそんな
ルアーがあるとは知る由もなかったので、「ウチのルアーじゃないですよ」と返したとい
う。しかし、ウエイトサイズを間違えたスーパースポットは明らかにスーパーソニックを
上回る釣果を発揮すると釣り人の間で話題となった。ネットもない時代、わずかな数しか
世に出なかった不良品。それを手にした人が明確な差があると声高に叫ぶほどに釣果に差
が出たということは、ラトルがどれほどバスに有効かを科学的にあげつらうよりもずっと
説得力があると思う。


バスはラトルで釣る。これは歴史が証明していることだ。私もあらゆるルアーでラトル有
りのものを使っている。ノンラトルを使うこともあるが、基本的にバスはラトルで釣る魚
である。では、なぜこんなに釣れると歴史が証明しているラトルを忌み嫌う連中がいるの
か、という話に入ろう。既に述べたが、ラトルが入っていると泳ぎが悪くなる。ルアービ
ルダーの思い通りに動かないということは、釣り人にとってもうれしいことではない場合
が大半だ。元々は泳ぎが悪くなるという理由で嫌われたのである。そのために、海や川の
渓流ルアーにはノンラトルのものが多い。潮目や激流でしっかり泳がせるのに、ラトルは
邪魔でしかないからだ。流れの速い場所に居る魚というのは、総じて泳ぎが速い。そして、
エサを獲るのが上手い。そのために、ルアーをゆっくり動かすことを嫌う(こともある)。
人間の手がおかしくなるほどのファストリトリーブでルアーを動かしてやると釣れる魚は
多い。有名なのは青物、そしてシーバスだ。マグロやカジキなどはクルーザーをかっ飛ば
してルアーを動かすのだから、彼らにとって速くて食えないということはあり得ないよう
だ。それだけ速く動かすのだから、ラトルはまるで役に立たないというわけ。


後編に続きます


【ラトル入りオススメルアー】
ラトリンログ ARB1200 ・スミスウィック

ラトリンログ ARB1200 ・スミスウィック
価格:890円(税込、送料別)


コットンコーデルスーパースポットは高くもなく、低くもない、オーソドックスなラトル
が採用されているリップレスクランク。非常に安価なため、ぜひ複数個常備したいルアー
です。狙った水深をリトリーブするほか、岩場などでボトムバンピングやリフト&フォー
ルで真冬や真夏の低活性の魚に効果を発揮します。

POP-Rははじめてラトルを使ったポッパー。カラコロと乾いたラトル音で魚を誘います。

ラトリンログはいわずと知れた傑作ミノー。一年中使えるため、パイロットルアーとして
ミノー好きのアングラーに長年愛されています。