ワールドシャウラ1754R-2
クランクに使うロッドは何がいいですか?と聞かれることがあります。巻物が好きな初心者の方が、一念発起して本格的に釣りをはじめ、クランクやスピナーベイトをやるための専用のタックルを用意しようとした際、あまりにも情報が少な過ぎるんですね。結果、私などに聞くハメになる。お店の人に聞いても、今売れている竿や、雑誌などでよく見る竿を何となくオススメされるばかりで、どうしてその竿なのか説明できる人はごくごく稀です。今回は、初心者からのステップアップ、中級者の追加の一本、更には上級者のタックルの統廃合のためにも役立つ、クランキングロッドのお話をさせていただきます。

クランクと一口にいっても、様々な種類があります。ウェイクベイトのような、巻いてもまったく沈まないもの。シャロークランクやミドルクランクのような最大深度2〜3mラインまでのもの。そして私が大好きなファットフリーシャッドのような大型ディープクランク。 本来であればそれぞれ別のロッドでやるべきで、一般論からすればクランクの種類だけ竿が増えてしまいます。それを真に受けて、いわれるがままにロッドを買って、全然使わない竿が出てくるのが中級者後期〜上級者の特徴であったりもします。しかし、現実問題としてそう何本もロッドを持っていけないわけで、可能な限りタックルは絞りたい。そこで、クランキング専用ではないバーサタイルなロッド選びを推奨いたします。こちらの釣れるクランクコラムでも書きましたが、クランキング専用ロッドとして、スーパーロングロッドをずらり並べる必要なんて余程特殊な事情でもない限り不要なのです。そして、クランク専用にタックルを用意しなくてもいいほど、日本の竿は進化しているのです。

私がクランクをやる際に使うロッドは3本。もちろん既に述べましたとおり、クランク専用ロッドではありません。すべてバーサタイルロッドとなります。ここにスピニングを一本加えれば、クランキングロッドどころか全タックル準備完了です。野池からメキシコまで、これだけで万事OKでしょう。

シャロークランク向けバーサタイルロッド

ワールドシャウラ15101F・スコーピオンXT15101F

キャスティングが快感に変わる究極のバーサタイルロッド1581Fに2インチ足したショートロッド内での飛ばし屋モデル。アメリカで大人気なのは、ライトリグから小型プラグ、ウェイクベイト、シャロークランク、モデルA 6Aクラスまでのクランクベイトまで投げることができる守備範囲の広さにあります。もっとも、体格的に勝るアメリカンにとって5フィート8インチは使いにくいのかもしれませんが。ロッドは基本的に短くなればなるほど「強く」なります。曲がりにくくなるのですから当然です。パワーが欲しいと思うなら、1581Fという選択肢もアリでしょう。

ワールドシャウラには15102Rや3Rといったショートロッドのバカに強い竿がありますが、あれは日本人用に多数ラインナップしているというよりも、アメリカや南米での人気に応えてのラインナップといった具合ですので、無理に2インチ長い15101Fを選ぶ必要はありません。私の場合、体格の都合上こちらというだけで、本来あるべきは1581Fなのだと思います。ただ、スコーピオンXTの1581Fはワールドシャウラと同じ製法のワン&ハーフモデルがありません。15101Fにはあるわけでして、そこも考慮する必要があるかと。悩むのが面倒ならワールドシャウラを買えばいいんですが、そうもいかないでしょうしね。以上をバーサタイルクランクロッドの1本目とさせていただきます。

※左からスコーピオンXT15101F-2、ワールドシャウラ15101F-2です


ミドルクランク向けバーサタイルロッド

ワールドシャウラ1652R・スコーピオンXT1703R・エクスプライド168MH-2

次に出て参りますのはミドルクランクに用いるロッドです。具体的には1/2ozを超えるクランクやハードベイト、3/8oz〜のスピナーベイトを投げるためのロッドとなります。3/4ozのスピナーベイトを投げるには無理があり、1ozクラスのディープクランクには向きません。一部の特殊なタックル(1ozヘビキャロ)を使うよう方以外は、1本目とこちらの2本目でベイトにおけるあらゆる釣りに対応できるかと思います。ファットフリーシャッド(BD7Fなどのディープクランク)もこの辺りで対応可能。ただし、エクスプライドは一日中やるにはわずかにパワー不足、スコーピオンXTも人によってはパワー不足に感じるかもしれません。一般的な成人男性よりも体力に自信がない方は、もうひとつ強めのロッドがいいとも思います。ただし、パワーを上げればそれだけ使えるルアーの幅は狭まりますので、見極めが必要です。
【関連リンク】エクスプライドでタックルを一式揃えるなら?

ワールドシャウラの1703Rや1704Rを挙げたかったのですが、現在製造中止(終了?)とのこと。パワータイプのバーサタイルロッドとしても無類の性能を誇るので、15101Fと1703Rの2本で後は要らないといいたかったのですが、それも叶わず。あんなにいい竿を製造中止とはなんともかんとも…。現在、ワールドシャウラ1652R、1703R、1704Rはレッドモデルとしてリニューアルしております。これで再び、ロングレングスを活かしたパワーバーサタイルが可能となりました。

※左から1652R-2、1703R-2、168MH-2です

ディープクランク向けバーサタイルロッド

ワールドシャウラ1754R

1703R、1704Rの製造中止を受け(リニューアル済)、ディープクランクロッドの主役に躍り出たのがこちらの1754Rです。最初の画像がこちらのロッドにスコーピオンXT1500-7を付けたものになります。1oz〜2ozのトローリング用スピナーベイトやヘビキャロをぶん投げられるモンスターロッドです。表記上80gまでOKとなっていますが、10oz(約280g)のものもなんとか投げられるということで、マグロやカジキ用のルアーもイケてしまいます。もっとも、そういう使い方まで考えられている竿ですが。

結果として、50up程度のバスでは「お話にならない」という事態に陥ります。シーバスやライギョ、巨ゴイの猛烈な引き込みはどうということはありません(興奮はしますが)。80クラスの魚はぶっこ抜けます(折れても責任はとりませんが)。この竿が目指した終着点は淡水のバスから、1.5mクラスのブリまで釣れる竿。10kgオーバーの青物と真っ向勝負するためのタックルですから、ディープクランクの巻き抵抗などものともしません。

オススメポイントはここからで、通常強い竿を作ると、低弾性のカーボンを使うために猛烈に重くて感
度がまるでなくなってしまいます。他社のビッグベイトロッドなどはその典型。無理をして高弾性で作ったものもありますが、それらは折れるんですよ。そんな中、クランクやスピナーベイトの振動を感じられるスーパーパワーロッドは1754Rを除いて他にはないと思います。怪魚専用ロッドとして1787Rなんてのがありますが、あれは…ライギョロッドといわれておりますが、オーバースペックですよ。津軽海峡で100キロクラスのマグロとやり合うための竿ですね。少なくとも日本のライギョが相手では、主導権を握られることはまずありません。とにかくパワーを!ということで、慌てて購入されませぬよう。バスを狙うなら1754Rが引き味を楽しむ上でも上限ギリギリのように思います。


※左から1703R-2、1704R-2、1754R-2です

以上がクランクの種類別ロッドのご提案ですが、最後に一点。ライトロッドでは大きな魚は釣れないと勘違いされている方がおられますが、(シマノに限っては)それは間違いです。自己記録の80オーバーのライギョはスコーピオンXTの15101Fで十分寄せられますし、90超えの魚もエクスプライド168MH-2で釣り上げております。リールにドラグもある以上、折れるという心配はまずありません。それよりも、ラインの心配をした方がいいでしょう。ライトロッドは太いラインを使うように設計していませんし、シマノのロッドを含め、最近のロッドは極小極薄ガイドを並べる傾向にあります。これではルアーは飛びませんから、ますます細い糸を使わざるをえなくなる。大きい魚が捕りたければ、ロッドパワーよりもまず、ラインの太さ、ガイドをチェックです。