ゲーリーヤマモト4インチグラブ

ワームの釣り、スローな釣りの辛さに耐えられる人間が偉い。そんなことをいう人が
います。実に日本人らしい考え方です。スローな釣りというならば、エサ釣り、ウキ
釣りのが断然上。ルアーフィッシャーマンは根性なしということになるけど、その辺
はどう考えるのだろう。そもそも、スローな釣りは誰にだってできる。ワームの釣り
は誰にだってできる。釣果が伴うかは別として。そして、俺はワームの釣りができて
いる!と思っている人の大半ができてやしないんだ。ワームは限りなくエサに近いル
アーだからね。できてなくても釣れちゃう。これが厄介なんだな。ハードベイトのよ
うにずっと難しければ、できてるなんて勘違いをしなくて済むんだけれど。
 
クランクを潜航率ごとに分類し、サイズ、カラー等を考慮して複数用意する人はいるよ
うでいない。スピナーベイトもブレードタイプやサイズ(重さ)ごとに何種類も用意し、
使い分けられている人はまずもっていない。こういった分類、使い分けができていない
人に、クランクやスピナベの釣りができているか聞いたとして、俺はできてるとはきっ
といわない。しかし、ワームであれば必ずといっていいほどいう。ワームは点で釣るル
アーなのだから、クランクやスピナベ以上に水中の理解が必要になるのに、ワームはで
きているという。実に滑稽だと思う。


一点シェイクのようなスローな釣りが釣れるだとか、ノーシンカーをゆっくり沈めて釣
るだとかいうけど、それって結局、水中がまるでわからない人が手っ取り早く手近なス
トラクチャー(水面から見えているもの)にルアーを投げてるだけで、今日からはじめ
た初心者にだってできる(キャストは難しいかもしれないが)ことなんですよね。まさ
か、水深5mラインまでノーシンカーをフリーフォールしている人なんていないはずで
すし、結局は水面から数十センチにいた魚が、落ちてきたワームに興味を示し、たまた
ま食っちゃっただけというのが多いんじゃないかと思う。それでも彼らは俺は上手い、
俺はワームの釣りができてるという。改めていうことじゃないかもしれないけれど、大
間違いだと述べておきたい。


どうしてこんな風にワームの釣りが職人気質に語られるのか。上手くもないのに、上手
いといってしまうのか。そもそも彼らはあらゆる釣りのスキルが稚拙だ。キャストすら
うまくいかない。そんな彼らがストラクチャーやカバーを攻めることができるルアーと
いえば?ミスキャストをしても木の枝に引っ掛からないのは?根掛かりを恐れずに済む
のは?そう、ワームです。自分のミスや技量不足を隠す目的で消極的に選ばれたルアー、
それがワームというだけ。クランクなんて怖くて投げられないから、いつまで経っても
消極的な釣りを続ける。結果、まるで進歩しない。魚を探す能力、水中を理解する能力
が足りないまま、一歩も前に踏み出すことなく初心者の釣りを続ける。ロストが怖いか
ら他のルアーは投げないんだし、ワームでしか釣れっこないよね。で、ドンドンワーム
が好きになっていく。他のルアーが信用できなくなって、ワーム絶対病にかかるんだな。


私はまず、初心者にはハードベイトを投げさせる。オリジナルザラスプークが一番多い。
次にスピナーベイト。ワームの釣りは教えない。トップウォーターのザラを投げさせて、
左右に首を振って見せると、ただの棒切れが活き活きと動き出す。次はすり抜け性能の
いいスピナーベイトで、色んな攻め方を学んでもらう。それだけでいい。初心者に楽な
ワームの釣りを教えると、何ヶ月、下手すりゃ何年もそればかりをやる。その間、まる
で進歩がない。ハードベイトを教えた初心者は、その間ドンドン進んでいく。ジッター
バグはどうかな、チャターベイトはどうかなと、自分の釣りを探しはじめるから、放っ
ておいてもワームの釣りを覚えるワケ。そのころにもう一度会って、メタルジグ(ジギ
ングスプーン)のようなおおよそ釣れそうもないルアーで魚を釣ってみせれば、ワーム
が絶対病のワクチン接種は完璧だ。


ワームの釣り、スローな釣りは泥沼だってことを知っておいて欲しい。ここに捕まると、
釣果がポツポツあったとしても、釣り自体は一向に上手くはならない。今、ワーム絶対
病に罹患していると思っている釣り人は、釣りのスキルを上げたうえで再度ワームの釣
りに戻ってきてもらいたい。きっと世界が違って見えるはずだから。釣果だって見違え
るはずだ。まだ信じられないって人は、サーチルアーとワークルアーの項を読んで、絶
対病をはやく治してしまおう。