フッキングができない釣り人が増えている。どういうことかといえば、魚が食って、
そこからアワセるわけですが、せいぜいラインスラックをとる程度。ガツンとアワセ
て魚の口に針を通すという感覚がそもそもないわけです。かつてはフッキングはパワ
フルに行うものだとデモンストレーターやプロが熱く語っていたのですが、今はまる
で聞きませんよね。んなこたねェよ!! という声も聞こえますが、昔に比べれば聞か
ないんです。ここ10〜15年で釣りをはじめた方は、それ以前のフッキングの重要性を
語る本やビデオ、セミナーをご存知ではありませんのでね。

そんなこんなで、フッキングができない症候群が蔓延するのはなぜか、そしてその弊
害と対処法を考えていきたいと思います。
 
「デカいのかけたんだけど、フックオフしちゃってさ〜」
なんてハナシをよく聞くわけです。食いが渋い中で、フック一本が浅めに外掛かりで
もしてたのかと思ったらそうでもなく。単純にアワセてなかっただけなんです。フッ
キング不足なんですよ。巻物系のルアーは、簡単に魚が掛かります。アタリがとれな
くても、向こうアワセで掛かっちゃう。それをフッキングだと思ってるんですね。

いいですか、まるでダメです。魚がすんごくてバレたのではなく、あなたが鈍臭くて
バレたと認識すべきです。バラして興奮するのではなく、失意のどん底に叩き落され
なければなりません。「俺ってヘタクソだな…」と思わなければ、いつまで経っても
上手くなりません。まずは自分の腕を疑ってください。

そんなことをいったって、俺はちゃんとアワセてる!という方も多いのですが、まあ、
見事なまでにアワセてない。ここでひとつ、アワセられない理由、フッキングができ
ていない理由をみておきましょう。

・細いラインを使用していること
・柔らかいロッドを使用していること
・感度重視の折れるようなロッドを使用していること
・ワームの釣りが根底にあること

ざっとこんな感じです。まあ、一言でいえば、ライトな釣りが身に染みてしまってい
るからできないんですね。ラインが細いため豪快にフッキングできない。フッキング
で糸が切れる、フッキングでドラグが全力で滑り出す、これではダメなわけです。こ
こに拍車をかけているのが、スピニングでやるべきことをベイトでやる近年の流行で
す。弱い竿、柔らかい竿が非常に多く、管理釣り場のトラウトでもやるのか?という
道具が全盛です。3インチ以下のプラグしか投げない、スピナーベイトなんて使わな
い、そんな人が増え、ますますフッキングの腕が落ちました。更に更に、感度重視を
うたった、脆い竿が大流行。折れることが高級な竿の特権であるかのような論調まで
出てくる始末。これでは怖くてフッキングなんてできません。ランカーサイズのバス
を掛けて折れるような竿のどこがプロ仕様、トーナメンター仕様なのか。プロ用なら
世界記録が掛かってもいいようにしておけよと思うわけですが、まあ、それは本題か
ら逸れますのでこの辺で。


後はエサ釣りの感覚に近い釣りがルアーフィッシングに蔓延し出したのも問題です。
ワームの釣りはエサ釣りに近いため、飲ませてからアワセてもいいわけなんですが、
本当のエサ釣りマンは飲ませるわけにはいきません。石鯛や黒鯛相手に飲まれたら、
あんな極細ハリス、一撃です。食ったと同時に美しくフッキングしなければならない
のですが、バス釣りではフッキングの瞬間にエサ釣りの緊張感がない。バスにだって
歯はあるわけで、全力でアタリを拾いにいかなければならないのですが、それがなお
ざりになっている現状があります。結果、ルアーが飲まれ、細いラインも手伝って、
簡単にラインブレイクするわけです。


6ポンドだ、8ポンドだとラインの引っぱり強度なんてどうでもいいんですよ。フッキ
ングできない人には関係ありませんから。自分が釣りが下手だと認められない自意識
過剰マンがあまりにも多い。フッキングができないと認めないから糸を太くしない。
糸を太くするのは負けだと思ってる。だからいつまでも下手なまま。魚が食ってもア
ワセられないし、飲まれて切られる。


私は釣りが下手なので、25ポンドラインを使いますし、全力でフッキングします。魚
がルアーを追いかけてきて食いつくと、ルアーに歯形が残る(塗装が剥げる)ほどな
わけです。それだけ強く噛み付いている。そのうえ、自分の方に泳いできているわけ
ですから、相当強烈にフッキングしなければ、ルアーが魚の口の中を滑らない。滑ら
ないということは、針がかからない。


これはクランクやミノーでよく起こります。食ったのではなく、くわえただけなのに、
魚が掛かったと思ってファイトしはじめる。針はまだ口に刺さってない(薄皮一枚)
ので、魚がジャンプしたり、水中で口を開けたら終了。これを「バラした」と思って
るんですね。そもそも掛かってないんですよね。かつてスピナーベイトで釣っている
とき、52センチの魚をとったのですが、友人に魚取り網で掬い上げてもらうと、針が
口に刺さってなかったんですよ。スピナーベイトのヘッドの部分をかたくなにくわえ
ていたために、奇跡的に釣れただけ。そんなこんなでフッキングの重要性を痛感した
わけでして、そういう体験があればきっと考え方も変わるのでしょうが、そうそう体
験できるものでもなし。


私には体験を語るくらいしかできませんが、フッキングは魚をとるために大変重要な
ものです。細いラインを使うなら、なおのこと強く、鋭くアワセなければなりません。
この相反する部分をどう乗り越えるかは皆さんの考え方次第です。私は太いラインと
強いロッドを使うことにしました。


最後に蛇足となりますが、トップウォーターでアワセる人がいるんですが、あれは逆
効果です。ワームの釣りではまるでアワセないのに、トップはアワセるんですよね。
トップでアワセるのは、魚が完全に捕食して水中に逃げ込んだときです。基本的に向
こうアワセ待ちです。トップでフッキングすると、大体すっぽ抜けて吹き飛んできま
す。こなったらおしまい。そこの魚は二度と食いません。ドッグウォークアクション
で、右から左に方向転換した瞬間、さっきまでルアーがいた場所に魚が出るなんてこ
とはしょっちゅうです。ドバッという音を聞いてアワセてはいかんのです。ひと呼吸
置いて、ルアーがないことを確認してからアワセてください。ルアーがまだ水面にあ
るなら、魚が大勢を建て直す時間を与えて、再度アクションです。やる気がある魚な
ら、もう一度出てきてくれますのでね。トップでの即アワセは悪手です。くれぐれも
行いませんよう。