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クランクコラム第3回目となる今回は、クランクベイトを使用する際に大切な、
「水中への理解」についてです。クランクというルアーは、そこにいる魚の中で
やる気のある順に釣って行くもので、大きいサイズを選んで釣ることはできませ
ん。もちろん原理原則としては、ですが。


やる気のある魚を探す方法を知らなければ、まるで相手にされないままに一日が
終わるわけで、これが苦手意識を持たせたり、巻物の釣りを敬遠する要因になっ
ているのです。クランクは釣れないという方の大半が、今回のテーマである水中
への理解が不足しているといって差し支えありませんので、このエントリーに加
えて、サーチルアーとワークルアーの解説も合わせてお読みいただければと思い
ます。
 

この記事は全5回連載の第2回目となります。
  1. クランクベイトの基本理論
  2. はじめに選ぶべきクランク
  3. 水中を理解できているか
  4. クランクとタックルの関係性
  5. カラー理論

水中の理解とは、水温、水質、光量、水深、水中の構造、水流等を理解することで、
すべて解説することは不可能です。また、仮にすべてのケースを解説している本が
出たとして、変化する自然の中で役に立つのかといわれれば、おそらくノー。ケー
ススタディをどんなに学んだところで、あなた自身に釣りの理論、軸足がなければ、
まるで役に立たないでしょう。クランクの釣りは、ハードベイトの中でも特にこの
軸足が重視される釣りとなります。


水中を理解する方法は様々でしょうが、例えば、2ozくらいのシンカーを投げて、
そのフィールドの水深や地形を把握するというものがあります。ボートであれば、
魚探を見るのでしょうが、オカッパリならそうもいきません。自分で探りださな
ければいけません。左、左前、正面、右前、右と20mほどキャストして、それぞ
れの水深とかけあがり具合を探ります。ここで得た情報をもとに、頭の中に立方
体を思い浮かべて、水面からボトムまでの距離、地形、地質などを加えていきま
す。ここまでイメージできたら、今度は実際にクランクを投げて水中の構造物や
水生生物の有無を把握していくのです。


ルアーを投げれば投げるほど、頭の中の立方体(イメージ)が詳細に、豪華にな
るような感覚です。クランクの中でもディープ(3mより深い)クランキングは、
この感覚なしには成立しえません。ディープの水中が把握できれば、また、その
ポイントが一級ポイントであったとすれば、他の人が誰も攻めない爆発ポイント
になりえるのです。


ディープの釣りは非常に難しい一方で、昨日と今日、去年と今年でまるで違うと
いうことはあまりないため、一度見つけてしまえば安定した釣果が得られます。
水中の理解を深めるために、深度の異なるクランク「だけ」持って、2〜3日釣り
をするだけの価値はありますよ。クランクを投げるか帰るかしかないのですから、
真剣に取り組めますし、身になります。


そんな中で魚が釣れれば、すかさずメモです。今は便利な携帯電話がありますか
ら、魚の写真ばかり撮るのではなく、フィールドの写真を撮るのです。時間帯、
水質、水温、ストラクチャーやカバーの具合をメモ。次に水中の断面図を書き込
んで、どこでどのようにした際に釣れたかをメモ。これが20、30と増えていけ
ば、自ずとどういうときに魚が釣れるのか、自分の得意な釣りはどういうものか
がわかってきます。クランク、特にディープクランクにおいて、この手間を惜し
む人間は、いつまで経ってもすべての釣りが上手くなりません。目で見て確認で
きるカバーにワームを落として一日が終わる釣りをし続けることになるんです。
散々叩かれたポイントを更に叩いておしまい。そんなツマラナイ釣り、やりたか
ないでしょ。


クランクは辛い釣りです。だからこそ、みんながやっていない。しかし、みんな
がやっていないからこそ釣れる。あなたの心持ち次第です。苦痛に耐えて釣果を
得るか、苦痛を避けて人並みの釣果で満足するか。


私は断然前者です。散々申し上げておりますが、ラクな釣りをしたいだけなら、
エサで釣りますのでね。ルアーゲームはそういうものではないはずでしょう?