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釣具屋で見かけませんか。竿先を天井に当てて調子を見る人。
「おう、このロッドはファーストテーパーだな。さすがは○○プロのロッドだ」
などといっているわけです。メーカーの方か、竿師でしょうか。竿先、つまりはティップを
天井に当てたり、床に押当ててグニグニやるだけでそんなことがわかるなんて。
仕舞いに、ラインを通して左手でロッドを立て、右手でラインを真下に引っぱり、
ロッドで逆「し」の字を描かせる方がいます。得意満面の笑みを浮かべて。

いいですか、あんなことで竿の調子はわかりません。ロッドのテーパーは、
竿を水平より少し上に構え、ラインを下方向に引っ張ってもらってはじめてわかるもの。
竿全体で緩やかに受け止めるのがスローテーパー、先端の方で主にやり取りするのが
ファーストテーパーです。天井に押当てても、そのときの力加減で曲がり具合は
変わりますし、わかるのはせいぜい、よく曲がるか曲がらないかくらいのもの。
天井に当ててわかるのは「感度」です。そして、感度が知りたければロッドを天井に
当てずとも、ブランクスをトントンと触ればわかります。
天井への押し当てはガイドが傷む上に、一部分だけ必要以上に曲げられることで
ロッドの寿命が縮みます。どうしてもやりたければ、買ってからにしてください。


「折れない竿がいいんですが、何かありませんか?」と初心者はいいます。
しかし、自称上級者になると「折れるくらい繊細な竿の方が云々」といいます。
さて、どちらが正しいでしょうか。答えは初心者です。
もったいぶって答えは後で!などというまでもありません。折れない竿がいい竿です。

極端な例ですが、40センチ以上もフックとの間を持たせたヘビーキャロライナリグで
釣りをします。バスがワームをくわえてアワセるとき。弱々しい巻きあわせをしますか?
ボトムの釣りでは魚は後ろから追ってきて食うことがよくあります。
その中で、泳ぎに自信のある魚(川バスやランカーサイズ)は追い抜きざまにルアーを
くわえ、ガッチリホールドしたまま釣り人の方向に向かって泳いでくることがあるんです。
1秒間に50センチくらいの速度で。これはクランクでもスピナーベイトでも起こります。
こうなったら必死に巻いても糸フケを取るのが精一杯。
しっかりフックアップするには強烈なフッキングが必要不可欠です。
でも、トーナメントロッドだから「フンッ!!」とあわせらんない。折れちゃうもん…。
と言いますか。トーナメンターはいいんです。仕事ですから。折れても仕方ない。
プロ野球選手が、バットが折れるから打席に立っても打たないなんてことはありませんよね。
必要経費とみて割り切っているのです。
あなたはどうですか?「フンッ!」とあわせて折りますか?
「バスのためだもん、3万円くらい仕方ないよね!」といえますか?



ロッドメーカーには、ふたつの大手メーカーがあります。シマノとダイワです。
いずれもバスロッド以外の竿も手がけ、バスという枠に終わらない竿づくりが得意な
メーカーです。端的にいえば、シマノは最高、ダイワは最強のロッドをつくります。
 
シマノのロッドは最新鋭の技術をふんだんに使い、未だかつてない次世代のロッドをつくる
メーカーです。今までにないものですから、長く釣りを続けていると前時代的な
釣り竿が体に馴染み、シマノのロッドは扱いにくいな…と感じる方も出てきます。
シマノのロッドはピアノ線のような金属製の糸がロッドの中に一本通っているかのような
しなやかさと繊細さがあります。
 
一方でダイワのロッドは、今世代最強ロッドをつくるメーカーです。
今あるものでベストを尽くす。特に得意なのは、粘る竿です。
海釣りが強いメーカーだからでしょうか。安全で安心なロッドといえるかもしれません。

さて、その他のメーカーは?といえば、「プロ仕様だから折れるのは仕方ない」を筆頭に、
「バランサーをたくさん入れてあるのでバランスがいい」などなど、言っている意味が
どうにも理解できないロッドをつくるところがポツポツあります。

ロッドの感度のために強度を捨てるというのは、プロの姿勢として失格だと私は思います。
「プロ仕様なら、壊れてんじゃねーぞ!」ということです。
警察や軍用だからよく壊れます!なんて製品、ありえませんよね。
むしろ、プロ用だから頑丈で長持ち、極限状態でも信用できないといけないのです。
日本の警察が未だにレンコンのような回転式のリボルバー銃を使っているのは、
壊れにくく、メンテナンスも簡単だからです。釣り道具だってそうあるべきではありませんか?

「このリールはプロ仕様なのでしょっちゅう壊れて巻けなくなります」だったら怒るのに、
「このロッドはプロ仕様なのですぐに折れてしまいます」だと、したり顔で買っちゃう。
どういう心境なのか、サッパリ理解できません。

釣りでメシを食う分には、デッドorアライブなギリギリの竿でもいいでしょう。
しかし、一般人にとって釣りは稼ぎの道具ではなく、稼いだ金が出て行くだけの趣味です。
プロの真似をしてもはじまりません。我々は長く、安心して使える丈夫なものを選ぶべきです。


【蛇足】
アメリカのプロのように一般的な道具で釣って、その釣り道具を宣伝しろよと思うのですが、
日本の場合はまるで逆ですね。十数年前のシマノのバスワンというロッドは、90センチクラスの
鯉やライギョをかけても大丈夫でしたし、今でも使えます(最新の竿と比較しなければ)。
スコーピオンEVというスピニングロッドも50センチクラスを30本ほど釣っていますが、
15年ほど経った今でも現役です。道具なんて誤差の範囲と思い、いいものを選ぶようにしましょう。
ポッキリ折れたときの喪失感は尋常ではありません。
その場でうなだれ、釣りを辞める決意をするほどですよ。